箪笥の着物で、鬼滅の刃、炭治郎の羽織を作ってみました。
コスプレ衣装、鬼滅の刃、炭治郎羽織。
箪笥着物をとことん使って製作しました。
思い起しますと、我が家の娘達が、鬼滅の刃にはまっていったのは、世の中の流れとほぼ同じくのコロナ自粛で学校が休校になった頃でしょうか...。
時代物と聞いて、どれどれ、と読んでみました。
少女漫画で育った私。
最初は惨い描写に少し戸惑いましたが、ストーリー、キャラクターの良さに加えて、現代の生活ではなかなか知ることのできない和の文化、和の精神が子供目線でもカッコよく盛り込まれているところにとても感激しました・・・。
よくぞやってくださった!
と、あらゆる面で鬼滅の刃に関わる方々に感謝申し上げたいと思います。
娘たちが小さいころから、祝い着、浴衣、おひな祭りの着物、など、母の着物を解いて作ってきましたが、この鬼滅ブームのさ中、鬼殺隊の衣装を縫ってほしい、とせがまれてました。
コスプレ衣装となると、キャラクターの着物の柄と箪笥の着物の柄が一致してないと作れません。
鬼滅ブームで手芸店にはキャラクターの羽織柄の綿の生地が売っていましたが、そこは私のプライドが許しません。
生地が無いなら、生地から作るしかないかも…。
私の思いつく限りの知恵を絞って考えてみた結果的、とてつもない面倒な工程をふむことになった訳です...。
- 箪笥から生地になりそうなものを探す
- 生地になる着物を解いて洗う
- 表の生地を染める
- 生地を裁断する
- 裁断したものをはぎ合わせる
- 羽織の仕立て
それぞれ詳しく説明します。
1. 箪笥から生地になりそうなのものを探す。
今回は主人公の炭治郎の羽織に挑戦なのですが、エメラルドグリーンの着物がありません。
しかし薄いグレーの色無地がありました。
頂き物ですが、小柄な方だったようで私の身長には合いません。この着物を解いて
染料で染めてみることにしました。
格子柄になりますので黒の部分は、昔流行った黒羽織を使います。
羽裏、といって羽織の裏の背中辺りから袖裏につく裏地は、男性のお洒落さを表現するところ。
義理の祖父が着用していた男物のへこ帯をつかいます。
絞りの柄がすてきです。
2.生地になる着物を解いて洗う。
着物を解きます。
絹の着物のほとんどは、手縫い仕立てとなっています。
袷(あわせ)という裏地のついたものと、単衣(ひとえ)という裏地のないものがあります。
今回は袷(あわせ)で裏地があります。
着物を解くのはなかなか大変です。袷(あわせ)ですとなおさらに。
いずれ、詳しく書こうと思います。
それぞれを洗います。着物生地ですが、お金をかけたくないのでクリーニング店には出さずに、家庭用おしゃれ着洗い用の洗剤で水洗いしました。
ちなみに洗剤はエマールです。
へこ帯は乾く前にアイロンをかけて絞りを伸ばしました。
3.表の生地を染める。
洗った生地を水に通し、大きめの鍋に熱湯を入れ、染料を溶かします。
さらによく染めるためにお酢を入れ、生地を入れます。
かき混ぜながら20~30分煮ます。
染め終わり、乾かしました。やはり素人ですね…。染めむらがあります。
自宅用ですのでよしとします。
4.生地を裁断する。
それぞれを裁断していきます。
約10センチ四方の正方形をたくさん裁断します。
5.裁断したものをはぎあわせる。
市松模様の柄になるように配置してミシンで縫います。
この作業、ミシンとはいえ気が遠くなりそうな作業でした…。
昔の生地はしっかり織ってあるせいなのか、長年の湿気で生地が締ったのかせいなのかわかりませんが…、黒羽織の生地はとにかく硬かったです。
6. 羽織を仕立てる。
ここからは、わたしが普段している仕事です。
今回は12~14歳くらいの男子用で作りましたが、小柄な女性が着られても違和感はないと思います。(主人公の設定年齢に合わせました)
市松模様ということで、柄合わせがあるんですね。
背中、脇、袖付け、衿、と全て合わせなければいけません。
出来上がりは…、きれいに合いました!。
作ってみて…。
実のところ、羽織の染色とはぎは5月に終わっていました。
娘にせがまれたのもありますが、コロナの影響で、呉服屋さんからのお仕事が減っていた時期をチャンスだと思って挑戦することにしたのです。
しかし、学校も始まり、娘達の熱も冷めてきたところに、仕立ての仕事も戻ってきて、はぎ合わせの時点で精魂尽き果ててしまった私は、この計画を放棄していました…。
ホントに根性無しなんです。
和裁士の仲間には、作るんだ~、とか言っておいて、その後黙ってしらを切っていましたが、映画のヒットで黙っているわけにもいかなくなり、引っ張り出して縫い始めたのです。
縫い始めて、当然ですが、仕事で普段しているだけに、仕立てはスムーズ。
あと少しのところで投げ出していたなんて、いい歳になっても愚かだな~と反省しました。
箪笥の中で、もう出番はない、と諦めていた着物達が喜んでいるような気がしてなりません。