箪笥着物を着物コートにリメイク
箪笥の着物を着物コートに仕立て替えられます。
季節は晩秋に入りまして、朝晩の冷え込みが身にしみる北陸のこの頃です。
紅葉狩りも終わり、着物を着る人にとってはそろそろ着物コートの出番でしょうか。
着物や帯は持っていても、着物コートまで誂える方は着物通の方たちくらいですかね。
コートといえども、反物からですといいお値段しますもの...。
家で洗濯もできる、化繊素材のコートがリーズナブルな価格で売っています。
それもいいのですが、仕立て屋としては、箪笥の着物からコートにするリフォームをご提案させていただきます。
小紋や紬など、サイズが合わない着物はもちろんのこと、着物で着るには少し派手かな、と思われる柄の着物でもコートにするとそうでもない場合があったりして、面白いものです。
着物コートは衿の形と生地の素材で着ていく場所が若干違うルールがあります。
道行コート
角衿。都衿。
衿ぐりが四角くあいています。
素材が縮緬などのやわらかい素材ですと、フォーマルな席に適しています。
紬の素材になりますと、滑りの良いものなら、少しカジュアルになりますし、あまり滑らない厚手の紬やウールになりますと、おしゃれ着や普段着になります。
道中着
着物衿。
着物とよく似た衿ですが、着物より少し広く、折って着用します。
素材が良くてもフォーマルな席には適しません。おしゃれ着や普段着扱いになります。
千代田衿コート
衿ははめ込みになっていて、衿ぐりはV字になっています。
生地が柔らかものでもややカジュアル。道中着よりかしこまった席でも着用して行けます。
へちま衿コート
へちまのように縦長の衿で洋服の衿のように折り返して着用します。
こちらもおしゃれ着の扱いになります。
着物の世界にあるルール。それが着物を着たくても躊躇してしまう人を生み出している原因の一つであると思います。
この事を語りだすとかなり長くなってしまうので、機会があれば、ゆっくり書きたいものです。
ただ、着物コートについては柔らかものの道行コート以外はあまりフォーマル向きでないと思えば、悩まず楽かなと。
基本、自由に着物を着ることを推奨しますが、フォーマルな時だけは相手方への気遣いとして、知っておかれたらいいですね。
この頃の着物コートは身丈が長い
箪笥の中にもともとあった着物コートの丈はどうでしょうか。短めではないですか?。
着物には流行があまりないというお話を聞きますが、そんなことはありません。
着物の世界にも洋服に比べたら緩やかではありますが、形こそ同じであれ柄や身丈に現れます。
現在私がお受けする着物コート仕立ての丈は膝下くらいの七分丈コートの仕立てが圧倒的多いようです。
羽織も同じく、長羽織と呼ばれるものが多いですね。
短い着物コートや羽織の丈は長くできるかと問われますと、それぞれの衿や裏地のはぎにある縫い代の長さ次第になります。
しかしながら、身丈の長さの好みは人それぞれなので、短くても全く問題ありません。
現にお客の中には、日頃からよく着る方など、動きやすいさを求めて丈は長くしない方もおられます。
私自身も自分用に長めの道中着を仕立てましたが、着慣れていないため、裾がもたつき、気になって、姿勢から歩き方までおかしな事になった経験があります。
長羽織についても同じくでした...。
はおりものをカッコ良く着るには、まだまだ修行が必要なようです。