お針子日記

和裁の世界に入って20年。着物離れを何とか食い止めるべく、アイデアを練る毎日。

箪笥着物ほどいて分解、超基礎知識。(単衣、女物編)

着物の部位の名前  

 着物の部位の名称は大まかなところの名称は洋服と同じです。

 

 今回は超基礎ということで、以下の部位の名称のみに絞りましたが、和裁、着付けに興味がでてきますと、もっと多くの部位の名称を知ることになるでしょう。

 手書きの図でお恥ずかしいですが。

 

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・女物の袖には「ふり」があります。

   手の出口を「袖口」、身頃についている部位を「袖付け」といいます。

身頃・着物は前身頃と後身頃が肩でつながっています。

    前身頃は着用した時に上にくる方を「上前前身頃」といい、下にくる方を

    「下前前身頃」といいます。

おくみ(衽)・着物は掛け合わせて着るものなので,身幅が広くなります。

    反物の幅はだいたい38㎝程で決まっています。

    前身頃に生地が少し足されていてここの部分を「おくみ」といいます。

    おくみも上前と下前に分けられます。

・首回りから胸に沿って腰のあたりまでついています。

   着付けの際にはこの衿先に腰ひもをかけます。 

   汚れやすい首回りから胸あたりには「共衿」と呼ばれるもう一枚の短い衿を

   かけ、汚れたら共衿のみ外し,隠して付け直しできます。

   共衿の下にある衿を「地衿」といいます。

つま下(褄下)・衿付けの付け止まりからおくみの裾までを「つま下」といい

            ます。

裏衿・衿の形には主に二種類あります。

 

 広衿:衿幅が約11.5㎝の一定幅で衿を折って着用する

 ばち衿:衿幅が肩回りで5.7㎝で少しずつ広くなり、衿付け止まりで7.6㎝になってい

                 ます。着用時の幅になっているので、折らなくてもよいです。

 裏衿は広衿の裏地につかわれている。薄手の羽二重。

・三つ折りでくけてあります。

背中心:後身頃を後ろ中心で縫ってある縫い線

      着物はここを中心に左右対称になっています。

内あげ:着物はリサイクル前提の衣服です。

      あちこち直したり、寸法を変えたりできるように、縫い代もそのまま。

      反物の用尺が残れば身頃に入れ込んであったりします。 

      この入れ込んである部位「内あげ」といいます。

      ちょうど腰上あたりの帯結びで見えなくなる位置になります。

 

内あげは、かつて「繰り越し」と呼ばれるところも関係していました。

繰り越しは、女物着物につく大事な肩山のズレのようなものです。このズレが衿の抜き加減を左右します。詳しくはいずれまたゆっくりと。

 

 

 今回は着物の中でも、単衣という裏地のない着物についてお伝えしております。

 単衣着物といえば、浴衣やウールのような普段着、夏の着物「絽」「紗」と言われ る 絹の透け感のある着物。袷同様に、縮緬、紬、お召し。様々なものがあります。

 

 少し前までは単衣は5月~9月に着用するというルールがしっかりあったような感じでした。

 しかし、温暖化が顕著になってきた昨今、よっぽどの席でなければ、4月、10月に単衣を着ていてもおかしいことではなさそうですね。(もちろん素材感を選んだ上での話です。)

 

 さて、この単衣着物を分解しています。

着物分解!

 

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 各部位、すべてほどいたとすると、上記図になります。

 図の右側にある肩当ていしき当ては付いている場合とそうでない場合があります。

 古いもの、普段着にはいしき当ては付いていないことが多いかもしれません。

 逆に肩当ては普段着に付くことが多い気がします。

 

肩当て:衿肩回りに付ける補強布。

いしき当て:腰から下に後身頃いっぱいに付ける布。

        背縫いの補強。

        また薄物、夏物、は下着の透けるのを防ぐ役割がある。

背伏せ布:背縫いの補強、背縫いの縫い代の"みみ”を隠すための布。

       いしき当てが付く時はその付く位置まで。

 

 着物は洋服と比べると布量が多く、扱いなれていないと、なんだか難解な衣服に思えるかもしれません。

 しかし、分解してみると一つ一つはすべて長方形のパーツばかり。

 縫いは、袖の丸み以外すべて直線

 とてもシンプルです。

 それもそのはず、着物は私たち日本人が、はるか昔から着られてきた衣服だからです。