箪笥着物ほどいて分解、超基礎知識。(単衣、女物編)
着物の部位の名前
着物の部位の名称は大まかなところの名称は洋服と同じです。
今回は超基礎ということで、以下の部位の名称のみに絞りましたが、和裁、着付けに興味がでてきますと、もっと多くの部位の名称を知ることになるでしょう。
手書きの図でお恥ずかしいですが。
袖・女物の袖には「ふり」があります。
手の出口を「袖口」、身頃についている部位を「袖付け」といいます。
身頃・着物は前身頃と後身頃が肩でつながっています。
前身頃は着用した時に上にくる方を「上前前身頃」といい、下にくる方を
「下前前身頃」といいます。
おくみ(衽)・着物は掛け合わせて着るものなので,身幅が広くなります。
反物の幅はだいたい38㎝程で決まっています。
前身頃に生地が少し足されていてここの部分を「おくみ」といいます。
おくみも上前と下前に分けられます。
衿・首回りから胸に沿って腰のあたりまでついています。
着付けの際にはこの衿先に腰ひもをかけます。
汚れやすい首回りから胸あたりには「共衿」と呼ばれるもう一枚の短い衿を
かけ、汚れたら共衿のみ外し,隠して付け直しできます。
共衿の下にある衿を「地衿」といいます。
つま下(褄下)・衿付けの付け止まりからおくみの裾までを「つま下」といい
ます。
裏衿・衿の形には主に二種類あります。
広衿:衿幅が約11.5㎝の一定幅で衿を折って着用する
ばち衿:衿幅が肩回りで5.7㎝で少しずつ広くなり、衿付け止まりで7.6㎝になってい
ます。着用時の幅になっているので、折らなくてもよいです。
裏衿は広衿の裏地につかわれている。薄手の羽二重。
裾・三つ折りでくけてあります。
背中心:後身頃を後ろ中心で縫ってある縫い線。
着物はここを中心に左右対称になっています。
内あげ:着物はリサイクル前提の衣服です。
あちこち直したり、寸法を変えたりできるように、縫い代もそのまま。
反物の用尺が残れば身頃に入れ込んであったりします。
この入れ込んである部位を「内あげ」といいます。
ちょうど腰上あたりの帯結びで見えなくなる位置になります。
内あげは、かつて「繰り越し」と呼ばれるところも関係していました。
繰り越しは、女物着物につく大事な肩山のズレのようなものです。このズレが衿の抜き加減を左右します。詳しくはいずれまたゆっくりと。
今回は着物の中でも、単衣という裏地のない着物についてお伝えしております。
単衣着物といえば、浴衣やウールのような普段着、夏の着物「絽」「紗」と言われ る 絹の透け感のある着物。袷同様に、縮緬、紬、お召し。様々なものがあります。
少し前までは単衣は5月~9月に着用するというルールがしっかりあったような感じでした。
しかし、温暖化が顕著になってきた昨今、よっぽどの席でなければ、4月、10月に単衣を着ていてもおかしいことではなさそうですね。(もちろん素材感を選んだ上での話です。)
さて、この単衣着物を分解しています。
着物分解!
各部位、すべてほどいたとすると、上記図になります。
図の右側にある肩当て、いしき当ては付いている場合とそうでない場合があります。
古いもの、普段着にはいしき当ては付いていないことが多いかもしれません。
逆に肩当ては普段着に付くことが多い気がします。
肩当て:衿肩回りに付ける補強布。
いしき当て:腰から下に後身頃いっぱいに付ける布。
背縫いの補強。
また薄物、夏物、は下着の透けるのを防ぐ役割がある。
背伏せ布:背縫いの補強、背縫いの縫い代の"みみ”を隠すための布。
いしき当てが付く時はその付く位置まで。
着物は洋服と比べると布量が多く、扱いなれていないと、なんだか難解な衣服に思えるかもしれません。
しかし、分解してみると一つ一つはすべて長方形のパーツばかり。
縫いは、袖の丸み以外すべて直線。
とてもシンプルです。
それもそのはず、着物は私たち日本人が、はるか昔から着られてきた衣服だからです。