箪笥着物着用までの問題点・その2
前回から引き続き考えます。
4.着物の色や柄、八掛(裾回し)が派手だったり、若かったりする。
嫁入り道具であつらえた物や若い頃の感覚で選んだ色、柄は赤やピンクと娘らしい感じのものがよくあります。
また大島紬の裏に真っ赤な八掛(裾回し)も、時代を感じてしまいます。
表地の色、柄を変えたい場合は、染物屋さんに相談しましょう。
ただし、もともとの色の上から色をかけていくので、希望している色ピッタリには…。どうでしょうか。染物屋さんの経験にかかっているような気がします。
私も何度かお願いしたことがありますが、自分の希望色の色見本を持っていき、なるべく近い色にしてもらいます。
元はなるべく薄い色のものを濃い色に染てもらう方が失敗は少ないと思います。
八掛の色を変えたければ、好みの色で購入したものを付け替えられます。
大島紬に朱色の八掛(裾回し) 若い色の反物を染めたもの
またあまりにも可愛すぎる着物について。
娘さん、女の子のお孫さんのためにとっておかれてもいいですが、お話を聞くと、ある程度成長した現代っ子の娘さんは、着物に興味が薄く、反抗期も長引いていたりで、成人式の振袖で精一杯だとか…。(しかもその振袖さえもレンタルしたがるとか…。)
私はいっそのこと、もっと小さいうちに子供物に仕立て直してばんばん着せて写真に納めておくことをお勧めします。
うちも娘が2人おりますが、母の着物をほどいたり、頂き物、セール品の派手な小紋で反抗期前に着せて撮影をしておきました。
本人達も訳も分からず楽しんでましたし、なにより母も義母も喜びます。
そして、今現在娘は中学生ですがまだ着物が大好きです。
このようなことが出来るのは私が和裁士だからといえばそれまでですが、一提案として、子供の頃から着物に触れさせるのは、情操教育の一環として良いことだと信じています。
いずれ、子ども物の単衣物などの縫い方講座を書きたいと思います。
また、普段着やおしゃれ着に合わせる帯に仕立ててもいいですね。
帯の仕立ても、そんなに難しくないので、仕立て解説の記事を、いずれ書きますね。
5.羽織やコートの衿の形や身丈が今の主流ではない。
以前は羽織丈78㎝~程、コート丈 84㎝~程と短いものが多く、衿の形も角衿と言って、四角い衿ぐりになっているもの(道行コートといいます。)が主流でした。
今は、丈も長くなり、羽織で95㎝~の長羽織、コートも100㎝~で長めが好まれています。
衿も着物と同じような形の道中着と呼ばれるコートの仕立てが増えています。
身丈を長くされる場合は、身頃は「返し」と呼ばれる部分が45~50㎝以上ついている場合が多いので、出せる場合が多いのですが、衿、まち(羽織のみについている脇布)の縫い代の長さはそこまでではありません。その縫い代の長さ分が伸ばせる長さになります。
衿の形については残念ながら変えることは難しいと思います。
衿の形によって、身頃にはさみを入れてしまっているからです。
道中着衿から角衿にはできません。また角衿から道中着衿もできませんが、衽を付けてよく似たかたちにはもっていけます。
箪笥に眠っていた着物をそのままで着られるのが理想的ですが、時が流れている分、いろいろと不具合があるものです。
とても面倒臭くて、箪笥ごと捨ててしまいたい!。とおっしゃる方もいらっしゃいます。
しかし、私はこんな風な事を考えるのが大好きなんです。
ですから、いろいろな方々から着物をもらってくれないか、とお声がかかります。
断捨離やミニマムライフが今風の流れの中で、変な趣向の人間かもしれませんね。
子育ても少し落ち着いてきたこの頃、もし読んでくださる方がいらっしゃれば、少しでもお役に立てるよう書き記していきたいと思います。