箪笥着物着用までの問題点・その1
箪笥着物のお悩み・【着物を着る方編】
1.しみ、汚れ、臭い(カビ、樟脳等)があって気になる。
2.寸法が合わない。
3.着物が傷んでいる。
4.着物の色や柄、裾回しが派手だったり、若かったりする。
5.羽織やコートの衿の形や身丈が今の主流ではない。
これらのお悩み相談をよくされます。
実際に私ができるアドバイスは次のとおりです。
1.しみ、汚れ、臭いについて
まずしみや汚れ、については長い年月が経っている場合は、正直、とれない可能性が高いと思います。
ただ私はその道の専門家ではありませんので、染み抜き屋さんに一度相談されることをお勧めいたします。
また臭いについては、お天気のいい、乾燥した日、2,3日陰干ししてみて、まだ取れないようでしたら悉皆屋さんにご相談を。
2.着物の寸法があわない、について。
こちらのは和裁士の仕事になります。
一番多いのが裄丈(背中心から肩を通り手首のぐりぐりの骨まで)が合わない、というご相談です。
また譲っていただいた着物は身丈、袖丈が短い場合が多いようです。
身巾に関しては、若い頃の寸法で仕立てた着物がきつくなったので広くしてほしいとの依頼をよくうけます。
寸法を小さくする分には問題はありませんが、大きくするとなると、丈にしても巾にしても縫い代があるかどうかが重要になってきます。
裄や身巾の縫い代の確認は、単衣なら裏をみるとわかります。
袷(裏地がついて二重仕立になっいるもの)は、、裏に返しても裏地の縫い代しか見えないので縫い目の辺りを触って、縫い代を探ります。
身丈の縫い代ですが、内あげと言って、上から約42㎝程のところに生地をいくらかつまんで縫い込んであります。
その縫い込みの長さが、身丈を伸ばせる長さになります。
ただ、古い物になりますと、この縫込みは後身頃に僅かしかない場合が多いようです。
身丈がとれない場合は思い切って腰ひもを結ぶ位置で着物を分断し、別布をはいで仕立たりもできます。
3.着物が傷んでいる、について。
よく着用された着物のは裾や袖口の生地(主に八掛と呼ばれる裾回し)がすりきれていたり黒く汚れていたりします。
その場合は八掛(裾回し)を一旦着物から外して、上下を入れ替えて、また着物に戻す事ができます。
また、袖付け部、袖口部は、力が入りやすい為に、ほつれたり裂けたりしています。このような場合も補強して直せます。
着物のお尻の部分も、立ったり、座ったりを繰り返していると縫い目が段々と裂けてくるようです。生地にもよりますが、直せるものなら補強して直します。
衿に汚れが残っている場合、染み抜きもきかないようなら、縫い直しで解決できます。
着物の衿は大概、地衿と呼ばれる長い下地に掛衿という上衿が乗っかっている二重構造です。この上と下を入れ替えて付け直せば、綺麗な衿になります。
問題点はまだありますが、今回はここまで。